今までの自分にサヨナラを
私は息を呑み、時間がとまったように目を奪われた。
コントローラに伸ばした手が、大きな手にすっぽりと包まれているのだから――。
男の人らしい骨張っていながらも、しなやかで綺麗な手。
私のひんやりとした手につたわる優しく暖かいぬくもり。
「本当に……覚えてない――?」
そして、汚れのない水晶のように美しい瞳が、私の心へと訴える。
……初めてだった――。
男の人に手を握られるのも――、
そんな綺麗な瞳で汚い心を見られるのも――。