今までの自分にサヨナラを
第三章
陰る太陽
――まだ見慣れないグレーのラグの上で、私の小さな足が居心地悪そうにもぞもぞと動いている。
爪先まで緊張が広がって落ち着かない。
先程から沈黙が重くのしかかっている。
こんなにぎこちないのは、ここが紛れもない彼の部屋だからだろう。
いい加減この沈黙に耐えきれなくなった私は、打ち破るように声を発した。
「あの」
「さゆ」
ハモるように重なる声。
少し上を向けば隣の彼と視線がばちっと交わり合う。
胸の奥が勝手に狭くなって、私は慌てて下を向いた。
隠した顔が熱くて、自分のしたことにもはや後悔するしかない。