今までの自分にサヨナラを
今日は彼が挨拶に来る日だ。
彼を知っているお母さんはまだしも、初めて彼のことを話したお父さんは機嫌があまりよくない。
だから、お父さんのいるリビングの空気は重すぎて、廊下に逃げてきたのだ。
でも、窓を一枚隔てた外に広がる世界は、重い重い灰色の雲。
まるで今から起こることを暗示しているようだ。
所詮私は、晴れの日も雨の日も、たった一枚の窓に隔たれて、自由な世界に憧れることしかできない。
……籠の鳥みたいなものなんだ。
薄い壁も破れず、飛び立てずに籠の中で生きる。
もっとも、自分のこともできない私には、翼もないけれど。