今までの自分にサヨナラを
第一章
見えない境界線
――今日はいつもと景色が違う。
こんな場所だから、普段との相違に、より一層拍車がかかるんだ。
はっきり言って、気分はいいとは言えない。
だって、この日があまり好きじゃないから。
私は一年に何度とない風景を見ながら、ただ重い溜め息をもらす。
私は心が汚いのだろうか。
この日は特にある想いが胸をしめる。
人間とは何で平等ではないのかと……。
神様がいるのならば、神様とはなんと意地悪な人なのだろうと――。
こんなことを思わせるのは、全てこの光景のせい。
うちの学校には似付かわしくない“五体満足”な人間ばかりが廊下を行き交っているからだ――。