今までの自分にサヨナラを


その言葉とともに握らされた小さな紙切れに、私は言葉を返す暇すらない。


勢いに押し切られ、言いたいことがすべて喉につかえたよう……。


そうして彼は、すらりとした長身な体を翻し、仲間のもとへと駆け寄っていく。


その刹那、私の瞼にかかる前髪がふわりと揺れて、目を瞑った――。


彼が走ってできた爽やかすぎる風に――。


私は紙切れを握り締め、男友達に囲まれて無邪気に笑う彼の後ろ姿を、ただ遠くに見つめていた。



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