今までの自分にサヨナラを
静かに広がる声に、私の頭が真っ白になっていく。
耳を疑いたくなった。
信じたくない言葉が脳内を勝手に彷徨うのだ。
まるで私は宙に放り出されたみたいに、心が迷子。
「私は紗由里を十七年みてきたわ。光君はまだ何もわからないでしょう?障害のあるさゆと付き合うのにどれだけ困難があると思う?」
顔を上げればずっと黙っていたお母さんが、心配そうに顔を歪めて私たちを見ていた。
「だから、付き合うのは許せないわ……」
辛辣な響きが静かなリビングに満ちる。
胸は痛みもしなかった。
ただただお母さんの言葉を信じたくなかった。