今までの自分にサヨナラを

絵空事



――空を自由に鳥たちの群れが行き過ぎる。


水色の透き通るような空に、自身の羽で羽ばたいて、何の柵もなく飛ぶ姿を私はいつも目で追ってしまう。


しかし、小さな教室の小さな窓枠からは、すぐに鳥たちは見えなくなった。


その代わり耳に流れ込んでくるのは、私の大嫌いな話。


「えー、三年生は進路がかたまってきたな。あー、作業所に行く人、一般企業の面接をしている人。えー、一、二年生も先輩の話をよく聞いて将来どうしたいか考えるように」


思わず乾いた笑いが零れそうになる。



< 21 / 326 >

この作品をシェア

pagetop