今までの自分にサヨナラを


お父さんはわかってはくれなくても、お母さんだけはと信じ切っていたのだ。


お母さんがどんなに心配性でも、私の一番の理解者だと思っていたから……。


そんな中、静寂に不釣り合いな電話の着信音が鳴り響いた。


だるい体を起こしながらテーブルの上で喧しい音を出すケータイに目をむける。


今は電話に出られるような気分ではないのに、お構いなしにチカチカと光るランプに苛立ちそうだ。


一体こんな時に誰だというのだろう。


そう悪態を心の中でついて名前を確認したら、私は急に鼻の奥がつんと痛くなった。


もうそれだけで、涙が溢れてきそうだ――。



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