今までの自分にサヨナラを
私はさらりと揺れるツインテールを目にして、短く瞳を閉じた。
まるでスイッチを切り替えるように慣れ切った笑顔を作る。
今からはいつもの私だ。
「おはよう、なっち……」
だから近付きながら声を掛けたのに、思わず言葉が喉につかえた。
よく見れば隣にはともがいて、二人揃って顔を真っ赤に染めだす。
そして、真正面から視線を少し下げれば、そこには間違えようのない答えがあった。
絡まる指としっかりと繋がれた手――。
聞くよりも確かな、二人の証明だろう。
「さっ、紗由里!!なっち、また後でっ!」
ともは声を引っ繰り返し、しっぽを巻くように消えてしまった。