今までの自分にサヨナラを
私はそんなともの慌てる後ろ姿を見て、自然と吹き出すように笑った。
本当に心から、偽りなく――。
「おめでとう、なっち」
赤みの残るなっちの顔を見ていたら、私の偽りの笑顔なんて吹き飛んだ。
あの日の苦しそうななっちの顔を思い出せば、余計に祝福したくなる。
「ありがとう――」
嬉しそうに目を細めるなっちから、幸せが溢れ出る。
今までのなっちより、もっともっと可愛らしい女の子になってる。
私もそんななっちの姿に、陽だまりのようにぽかぽかと胸があたたかくなった。
きっと昔の私なら、絶対にこんな気持ちにはなれなかっただろう。