今までの自分にサヨナラを


少し前の私なら、他人の実った恋を、くだらないと笑ってた。


人を愛することを知ろうともしない人間だったから。


きっと、誰かを愛せる人を、心の中で羨んでいたんだ。


そう、羨むことしか知らなかったのだ、私という人間は。


だけど、今ならよくわかる。


誰かを大切に想う気持ちを知った今なら――。


人を愛することも、愛されることも、どれだけ幸せすぎることなのか。


今まで私が馬鹿にしてきたものは、私が生きてきた中ですごく煌めいて幸せなものだった。


普通の女の子は普通にこんな経験をしているのかと思ったら、贅沢だなともやっぱり思う。


でもその気持ちを知れたから、なっちの幸せも喜べるんだ。



< 222 / 326 >

この作品をシェア

pagetop