今までの自分にサヨナラを
私はなっちとエレベーターに乗り込みながら、なっちの話を聞いていた。
「でね、今度の日曜ね、お母さんにお願いしたら、友博君に会いに行かせてもらえることになったの」
何故か胸が急にちくりと痛みだす。
なっちの声は浮かれて少し高くなり、鈴のように可愛らしい。
笑顔だってすごく幸せそうで私も嬉しく思うのに、どんどん胸に雲が立ちこめていく。
「……よかったね」
二人しかいないエレベーターという箱の中に、嘘が広がる。
また前の私に逆戻りだ。
でも、羨ましい、お母さんが応援してくれてることが――。
祝福されることはどんなに嬉しいだろう……。