今までの自分にサヨナラを
私は抱えていたファイルとデニム地のペンケースを、力の無い手でやっと机の上に放るようにのせ置いた。
すると、バランスを崩したペンケースがよろけるように音を立てて倒れる。
そして、しめ忘れた外ポケットからある物が顔をのぞかせた。
――不格好な白い紙切れ。
手を伸ばすけど、指先が少しのところで戸惑う。
だけど、ゆっくりとそれを引き抜いてみた。
そこに記されたのは、さらさらと流れるような走り書き。
何で……、何でこんなのを私に……。
あの人は、本当に私を知ってるの……?