今までの自分にサヨナラを
「たまにはゆっくり話したいなぁ~と思って」
薄暗く冴えない廊下に無邪気に弾む声がよくとおる。
人懐っこく目を線のようにするその笑顔が、こんな環境ではよくはえた。
そんな、あたたかくて綺麗ななっちだからこそ、私は傍にいられない。
自ら命を絶とうとした私が、こんなにも無垢に笑う子の傍にいてはならないはずだ。
私はもう、きれいではないのだから。
「ごめんね。この後用事があって」
嘘の言葉なんて容易に出てくる。
少しの罪悪感が胸を曇らせるけれど、私が隣にいるよりはいいことだ。
私は行く宛てもなく、あの笑顔から離れた。