今までの自分にサヨナラを
私は荒れはじめた風に頬を切られながら、まわりを一望した。
寝呆けたような発色をする一面の緑、少しくたびれたようにくすんだ外壁の家々。
どれをとっても、私の心を揺らすものはなかった。
それは十二年通い続ける私の学舎も例外ではない。
今、目に見えている世界には何一つ、なくして惜しいと思えるものがないのだ。
私は反対側に川が力強く流れるのを見ながら、土手の上を進んでみる。
時折通り過ぎる大人は珍しそうに私を一瞬見て目を逸らした。
幼い子供は好奇心いっぱいに目を凝らしていると、母親に無理矢理手を引かれていった。
私の居場所は、一体どこに行けばあるのだろう。