今までの自分にサヨナラを
時々思う、茜ちゃんはエスパーじゃないかって。
だから、嘘なんて無駄なのだ――。
観念して手の平から現われた少しくしゃりとした紙。
私は三階にある音楽室に向かうため廊下を移動しながら話を切り出した。
「この間の文化祭で川商の男子から渡されたの」
「えぇぇぇ!?ママママジ!?連絡は!?」
茜ちゃんが突然廊下で大声を出すから、私は大慌て。
「落ち着いてよぉ!声大きい」
ちょうど横を白髪まじりのおじさんが行きすぎる。
昔からいる高等部主事の先生だ。
話し長いし捕まったら最悪。
茜ちゃんもすぐにはっとして口をつぐんだ。