今までの自分にサヨナラを
「……光君じゃないとだめなのね」
ぽつりと、オレンジ色の空間に言の葉がゆっくり落ちてゆく。
私はそれに導かれて上を向いたら、困ったように眉根をよせるお母さんがいた。
しかし、その表情は次第に移ろい、穏やかな笑いへと変わっていく。
「光君のおかげよ。光君の言葉なら、この子に届くのね」
夕日に照らされて、目の細められた笑顔から、お母さんの優しさが滲み出る。
「こんな娘だけど、よろしくお願いします」
床にはお辞儀をするお母さんのシルエットが長くのびていた。
唐突で私たちは呆然としてしまう。
「こっ、こちらこそよろしくお願いします!」
焦って頭を下げる彼の姿に私も笑顔になる。
今、私たちには優しく日の光が注いでいた。