今までの自分にサヨナラを
なにせ、自分のことも信じてあげられないのだから、誰も信じられるわけがなかった。
しかし、今は違う。
私は上をむいて、青い葉の間からこぼれる光に目を細めた。
地面におち、風が吹くたびに揺れて煌めく光は、まるで深海にまで届く光のよう。
深く暗い海底で何もかも諦めた私に見えた揺らめくあたたかい光。
それが、隣にいる彼なのだ。
穏やかに瞼は伏せられ、さらりと揺れる彼の短い髪が私の頬を撫でる。
そして、微かに伝わる鼓動は、彼の生きている証だ。
私は視覚も触覚も休ませて、彼に寄り添い耳を澄ます。
この一定に響くその音にずっと耳を寄せていたい。