今までの自分にサヨナラを


私は生まれて初めて思った。


生きていて、よかったと――。


あの日、命を捨てなくて、本当によかったと――。


産んでくれたお母さんや、私を止めてくれた先輩に感謝したい。


だって、今この時、彼の隣で鼓動を刻めることが一番の幸せだから。


そう思えるのも、彼のおかげなんだ。


私は自分なんて大嫌いだった。


他の誰よりも、自分という人間がどうしようもなく嫌だった。


でも、彼はこんな私でも好きだと言ってくれる。


だから、少しでいい、自分を好きになりたい。


彼が好いてくれている私を、嫌いではいたくないのだ。



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