今までの自分にサヨナラを


私は願うように彼の骨張った大きな手を握った。


そして、胸の中で膨らみ続ける想いを、大切に声にかえる。


「ありがとう、光――」


こんな言葉では足りないけれど、「好き」よりも伝えたい言葉。


溢れるのはこの言葉ばかりなんだ。


そして、これからは私も彼に何かをしてあげられるようになりたい――。


すると、離れぬように指をからめ、彼が手を握り返してくれた。


二人で握り合う手があたたかく、その温もりが愛おしくてたまらない。



本当に私は彼が好きなんだ。


私に向けられた彼のくしゃりとした笑顔に、いつだって胸が高鳴る。



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