今までの自分にサヨナラを
「うわっ、ドラマみたいな展開じゃん!なんかロマンチック~」
茜ちゃんは私の話を聞くなり、なにやらニヤケ顔。
手が口元を覆うけど、クスクスともれる声と、三日月型の目は完全に笑ってる。
「だから、そんなんじゃないの、茜ちゃん!」
だから、私もつい子供みたいにムキになっちゃう。
「ふ~ん、そう。でも、覚えてないの?」
「覚えてないし、本当なのかもわかんないじゃん。とにかくもう関係ないの」
私は気持ちに区切りをつけるようにはっきりと言った。
「ほら、音楽室行こ!みんな来ちゃうし」
私はニコッと笑って車椅子を発進させる。
あんなの忘れるのが一番だ――。