今までの自分にサヨナラを
歪んだ心
――レースのカーテンの隙間から外の景色がのぞいている。
薄灰色の厚い雲から、千切れるかのように散る白い破片。
その小さな軽い軽い破片はまるで紙吹雪のように空を乱舞した。
「山間部では雪が降っていますが、平野部では風花のまま雪になることはないでしょう」
リビングの角に置かれたテレビの中でお天気お姉さんがそう告げる。
午前中から降り続いているが、窓から見える隣の畑は微塵も白く染まりはしない。
地に辿り着いた時、一瞬にして姿を消すのだから。
あれは所詮、雪のなりぞこないなんだ――。