今までの自分にサヨナラを
ほら、こんな身体、普通じゃない。
同じ年の子は自由に走り回って遊んでたのに、私の足はちっとも動かないんだから。
……きっと、特別視されるのは仕方ないんだと思う。
だけど、私は少しでも普通に見てもらいたかった。
だから今、馬鹿みたいに検定の勉強してるんだ。
小さくても証になるならって――。
貸借対照表に電卓に表示された金額を機械的に書き込み、表を完成させていった。
「さゆ、お茶淹れたわよ」
すると、とんと静かにテーブルに何かが置かれた音とやわらかな声。
「ありがとう」