今までの自分にサヨナラを
廊下の端っこを通っていると、交流会の係の生徒と先生たちが慌ててすぎていく。
「あれ、紗由里ちゃん?」
そして突然、タイヤがキュッとなる音がして鼻にかかるような声がした。
「あぁ、なっち」
振り返ったピンクの車椅子に乗ったなっちは、今日も高い位置のツインテール。
目を細めた笑顔はとっても穏やかでやっぱり可愛い。
「一緒に行こう、紗由里ちゃん」
そうして、なっちは花が咲いたように笑う。
……何でだろう、一瞬だけ脳裏を過る……あの人が――。
「あ、えっと、先行ってて。なっち、係でしょ?」
「あっ、そうだった!じゃあ、待ってるね」
私はその場に止まったままなっちを見送ったのだった。