今までの自分にサヨナラを
私は茜ちゃんの本音に、微かに唇を噛む。
「行ったら行ったで、最初は喋るのとか食事とか環境的に大変だろうし、ね……」
茜ちゃんの浮かべた苦笑いが私には痛い。
その痛みを知ってるからこそ……。
私は茜ちゃんと長年一緒にいる。
だから、茜ちゃんの障害を特別に思ったことはないし、お互いできることで助け合ってきた。
だけど、やっぱり障害のハンデはなくならない。
茜ちゃんの手は細かな動きが難しく食事には介助が必要だ。
喋ることも舌や顎を動かし発音するのは少し難しくて、初対面の人と会話するのは大変だと思う。