今までの自分にサヨナラを
私はその笑顔を、ただぼんやりと見つめていた。
“同じだね”
頭の中で何回も反響する。
そんなふうに見てもらえたことなかったもの――。
「おーい、のん。いい子にしてるか〜?」
すると、病室に私と同い年ぐらいの男の子が入ってきた。
短いサラサラの髪に、大きめの黒い瞳。
なぜか、一歩一歩近づいてくる少年に目を奪われる――。
「お兄ちゃん!ねぇ、おねえちゃんとお友達になったよ!」
お兄ちゃん……?
彼女は少年に笑顔で駆け寄っていく。
「よかったなぁ、のん」
少年は彼女とそっくりの無邪気な笑顔を浮かべていた。