今までの自分にサヨナラを
彼の穏やかな声が鼓膜を震わす。
その優しい声音は、自然と私の胸に心地よく流れ込んでくるんだ。
すると、彼が私の方へと向き直った。
「こんにちは。俺、のんの兄の光です。よろしく――」
私の目の前に彼がいる――。
綺麗に整った顔立ちは美少年といえるほど。
そんな顔が屈託のないくしゃりとした笑顔にかわる。
彼のところだけ、なぜか輝いてるの。
こんな、世界から切り離されたように、くすんだ無の白に囲まれた中で……。
私は、初めて見た気がしたの。
私の世界には決してささない光を。
彼は太陽そのものに見えたんだ――。
そう、これが私と彼の出会い。