今までの自分にサヨナラを
すると、のんちゃんの隣でスケッチブックに彼は何かを書き込んでいる。
色鉛筆が紙の上を滑る乾いた音がパタリと止み、子供みたいに嬉しそうに笑う彼。
「俺もその話好きだよ。だから、絵にしてみたんだ」
彼はそう言いながら得意顔。
そうして、一枚の真っ白な紙がゆっくりと返された――。
色鉛筆で彩られたやわらかな緑の夢の国の森。
仲間たちの真ん中で元気よく笑う赤いワンピースの少女。
私はベッドの上で、ただただ目を丸くした。
紙の中には、私の童話の中の世界がそのままあったから――。