今までの自分にサヨナラを


普通の元気な子と話すなんて、私には怖かった。


だって、私と同じように障害のある子たちとしか話したことがないから。


――だから、ちっぽけなことかもしれないけど、私には本当に大きなことだった。


でも、そんなの彼にとっては何でもないことでしょう……。


ただのボランティア心にすぎないだろうし、優しい彼にとって分け隔てなく接した多くの人の中の一人。


私とは違って、彼にはきっとごく普通のこと。


そんなの、普通はいちいち気に留めないでしょ……。


なのに、あんなに短い時間のことを、こんなにも無愛想な私のことを本当に覚えてるの?


信じられないよ……。



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