今までの自分にサヨナラを
私は耳元で急にした声に、思わず息を呑んだ。
つながっちゃった……。
私はケータイを握る手に微かに力をこめなおす。
「……あの、水瀬……紗由里です……」
鼓動は変に早まって、私はやっと途切れ途切れに口にする。
「……さゆ……?マジでさゆ!?うわぁ、ありがとう!」
なのに、聞こえてきたのは、子供みたいにはしゃぐ彼の声。
私は驚いて力が抜けそうになってしまう。
でも、小さく深呼吸してすぐに気を取り直した。
「えっと、思い出したんだけど、……貴方に会ったのは、あの、病院……?」