今までの自分にサヨナラを
お母さんが玄関戸をがらりと開けると、明るい日差しが玄関をさす。
そこには日差しを背負うように立つ一人の人影。
「こんにちは。お邪魔します」
やはり冗談などではなく、にっこりと微笑んで、彼が立っていたのだ。
「久しぶりね~。懐かしいわ、光君。大きくなって」
「お久しぶりです。またお会いできて嬉しいです」
私は無言でいるけれど、お母さんはびっくりしながらも笑顔で彼を迎え入れている。
「さあさ、上がって」
お母さんは手際よくスリッパを用意していたけど、彼は困ったように頭を掻いた。
「あ、あの、さゆとそこら辺散歩してきてもいいですか?」