Sunset
1.317番
僕は目が覚めた。

今は午前4時39分らしい。

誰かが僕の部屋に入ってきた。

「あの…お名前は…。」

僕は何も思い出せなかった。

分からなかった、本当に分からなかった。

分かるのはその言葉だけだった。

「ここがどこだか分かるかな?」

分かるわけがない。

たった今やっと時間だけが分かったのだから。

するとその誰かは出ていった。

しばらくすると大柄な男の先生が入ってきた。

シルエットから白衣に見えたので先生だと分かった。

「君は記憶喪失だと思う。無理に思い出そうとしなくてもいい。
そのうち何かの衝撃で咄嗟に思い出すものだから。」

そう一言だけ言って部屋を出ていった。

さっきの誰かが不安そうに先生の方を振り返ったが、
僕の方に歩みよってきた。

「とりあえず、ここの施設では"317"という番号で呼ぶわね。
ここではそういう決まりだから…」

僕はまた睡魔に襲われ眠ってしまった。
< 1 / 8 >

この作品をシェア

pagetop