Sunset
5.1日目
僕はその日、みんなと一緒に朝食を食べた。

朝食は質素なパンで、ひとりひとつは厳守だという。

17人という20人近い子供を無料(タダ)で養っているわけで、
それも子供という、なんの職業にも使えない人間を
ここで多少貧しいとしても何不自由なく面倒を見てくれるのだ。

社会から「こんな制度は撤廃してしまえ!」という意見が出るのも分かる。

たとえここにいる子供が大人になったとして、世界に何の有益があるだろうか。

「何も変わらないのだからそのまま飢え死にでもしてくれ」というのが
今の社会の率直な意見だろう。

だが、ある人間はある意味、有益となりうる存在でもある。

子供に恵まれない夫婦にとっては子供は宝物である。

そういう意味でも意外と出入りが激しかったりする。

だが、ひとつだけ言えるのはここから出た者は二度とこの場所に
戻ってくることは出来ない。

もし、卒業したとして、またその家庭がその子供を捨てても
施設にはデータが残っているので同じ施設には帰って来れない。

だから子供たちは各地の施設を転々とするのだ。

行く宛が無くなったら死ぬしかないのだ。

だけど、施設にいられる日にちも割と短い。

その期間中に貰い手が見つからなければ適当な家の住所に
子供を帰したとして、実際は裏の世界に放り出される子供もいる。

今はそれが当たり前の時代なのだ。
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