泣き虫なお姫さま。
まおが好き――― だと気がついて、数ヶ月。
あれは…… 今年の夏休み明けの台風が近づいて来ていて休日だった。
ひょんなことから、まおが俺ん家に泊まりに来て…… 俺とまおとの距離が一気に縮まったんだ―――。
お互い、それまではどこかよそよそし感じだったが――― あの日を境に、俺たちの関係はちょっとだけ変化を見せるようになったんだ。
「じゃあな」
「バイバイ」
俺と陽太は1組、まおと愛川は4組。
4組は1組の奥にあるので1組の前で2人とは別れる。
「まお、今夜、よろしくな」
「はーいっ、待っているね」
学年が同じでも、俺とまおは下校する時間がいつも違う。
一緒の時間だったら、まおと一緒に帰れるのに――― なんて、何回、思ったことやら。
ガラガラッとドアを開け、教室に入る。
教室はストーブのお陰で暖かい。