オレ、トーフ。【短】
ユズハが戻って来るのをひたすら大人しく待っていたオレを、トーヤがニッと笑って呼んだ――。


「トーフ!」


ピクリと耳を動かしてトーヤを見ると、前足でボールを持っている。


「ほら、いいもんやるぞ〜」


トーヤがそう言ったのと同時に鳴った音につい反応してしまったのが、オレの運のツキだった。


動かす度に『チリンチリン』って音が鳴るボールに、たちまち目を奪われてしまったんだ。


「アンッ!アンアンアンッ!」


何だ、そのおもしろそうなやつー!


尻尾を振ると、トーヤがまたニッと笑った。


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