ヘタレ王子とヤンキー姫
春樹は玄関で両親を見送る。

あれから一週間、春樹の気分は落ち込んだままだった。

3人は心配してくれるが、理由聞こうとはしなかった。

帰り道も、樺音はずっと手を握っていてくれた。

多分思いきり勘違いしているんだろう。

「じゃぁ春くん行ってくるね。火と包丁には気を付けてね。」

「お土産買ってきてやるからな。いい子にしてろよ。あっ彼女とか連れ込んで、ラブホ代わりにするんじゃないぞ?」

理名は思いきりだんなの脛を蹴りあげた。

「いってー!!」

「バカじゃねぇの。」

「ママ怖い…。」

「ごめんごめん。今のはパパが悪いのよ?じゃぁいってくるわね。」

二人は手を降り、行ってしまった。

我慢していた涙が、次々に溢れてくる。

「寂しいよ…ママ〜。パパ〜行かないで…。」

しばらくして、春樹は立ち上がった。

これから起こる悲劇のことなど、何一つ知らずに。
< 100 / 200 >

この作品をシェア

pagetop