ヘタレ王子とヤンキー姫
うわっなんだこの部屋は…。

めちゃくちゃじゃねぇか。

散乱した洗剤。

釜の中には、カラフルな泡。

…なるほどな。

だいたい読めたぜ。

ってかいつまで泣いてんだ。

…まぁ、かわいいから許す。

とりあえず、絆創膏を貼ってやるか。

「春樹風呂入ってこいよ。」

「お風呂のためかたわかんないもん。」

…待てよ…こいつ、まさか…

「春樹?お前さ…。」

ダメだ。

耳を塞げ。

次の台詞を聞いてはいけない。

「いつもママと入ってるからわからないもん。」

理名さん…俺…だんだんあなたに対する憧れの気持ちが遠退いてく気がします。

「春樹、もうひとつ聞いていいか?」

「な〜に?」

とりあえず指くわえんのやめろ…反則だから。

「なぜ釜に洗剤が入ってる?」

「お米洗おうとしたの。ママが洗うんだよって、教えてくれたから。」

理名さん…あと一歩遅かったら、あなたの息子はあの世行きでした。

よしっ落ち着け樺音。

考えるんだ。

春樹を風呂にいれるのが先か、掃除が先か、夕飯の準備が先か…。

うん、決めた。

恵美に電話しよ♪

…なんか俺、キャラ変わってねぇか…。
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