ヘタレ王子とヤンキー姫
said RINA

春樹が泣きながら帰ってきた。

いつもの冗談のいじりとは違うみたい。

今回は深刻か。

春樹の話では樺音が浮気したらしい。

しかも逆ギレ。

…事実なら殺す(怒)

樺音の家に乗り込んだら、樺音しかいなかった。

「なんすか?」

いつもと口調が違う。

かなりイライラしてるみたいだな。

「お前が浮気なんかしないとは思ってる。今度は何があった」

おっ黙った。

「別になんもないっすよ。」

あれ?話さないんだ。

いつもと違う樺音の雰囲気に重要なことを隠してるような気がした。

「またトラブルしょいこんだのか?」

「なんもないって言ってるじゃないですか!」

あっ?(怒)

人が心配してやってんのに、その態度はないんじゃないの?

久々キレたわ。

「ふざけんな!」

殴ろうとしたら止められた。

誰も止められなかった私の拳を止めた。

さすが現役伝説のヤンキー。

樺音からは、怒りのオーラがビンビン伝わってくる。

こりゃマジだな。

「ムカついたらすぐ暴力っすか?さすが元伝説のヤンキー。腕は鈍ってないんスね。」

余裕かましてんなよ。

ムカつくなぁ。

「誰にだって、言えない秘密のひとつや二つあるでしょ?」

たった一言そういって樺音は黙った。

これ以上詮索するなってことか。

「…そうだな。今回は何も言わない。自分達で解決させな。」
樺音に背中を向けて、私は部屋を出た。

そこまでして、お前は何を守りたいんだ?
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