ヘタレ王子とヤンキー姫
said KAON

恵美たちが帰ってからしばらくして、理名さんが来た。

絶対に来ると思った。

今回ばかりは、あんたに話すわけにはいかねぇんだよ。

気持ちは嬉しいけど…。

俺はあいつの秘密を守ってやらなきゃいけない。

あいつは勇気を出して、俺だけに話してくれた。

泣きながら話した。

キモいっていじめられて、友達もみんな離れていって…。

俺を信じて話してくれた。

だから裏切るわけにはいかない。

何があっても。

理名さんは、俺の態度が気にくわなかったのか、殴りかかってきた。

あっぶねー。

あと一歩遅かったら、完全にクリティカルヒットだな。

受け止めるだけで精一杯だ。

…強い。

さすが元伝説のヤンキー。

鈍ってないな。

まともに喧嘩したら確実に負ける。

現役時代に出会ってなくてよかった〜。

少しはなして理名さんは帰っていった。

はぁ〜…よかった。

心配してくれるのはありがたいけど、俺だって…話して安心させてやりたいけど…それが無理なら、仕方ないだろ。
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