ヘタレ王子とヤンキー姫
said HARUKI

卓也から、カミングアウトされたのは、衝撃の内容だった。

まさかそんな事実があったなんて。

これで樺音が何も言わなかったことも納得いく。

言えるわけない。

こんな過酷な試練を背負わされた人の秘密を、安易にペラペラと話せるわけないよ。

「お前は樺音のどんなところが好きなんだ?」

「優しくて、強くて、カッコいいところ…それに不器用なところも…全部。」

卓也は少し笑った。

「不器用なんだよ。あいつは。要領がわるい
多分樺音はこう考えたんだ。
自分にとって大切な人間でも、俺にとっては、存在も知らない他人だから、安易にしゃべっちゃいけないって。
それに話しても信じないだろ?普通。」

「僕は信じるよ。樺音は隠し事はしても、嘘はつかないもん!それに隠し事って言っても、自分のためじゃなくて、誰かのための隠し事だし。」

「じゃぁその気持ち、姫に伝えてこいよ。」

そうだよ。

伝えなきゃ。

あって謝らなきゃ。

泣いてる場合じゃないのに…涙が止まらないよ。

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