ヘタレ王子とヤンキー姫
今日は、一生に一回の成人式。

「樺音振り袖にあってる。」

「恵美も似合ってるじゃん。」
「やっぱモデルは何着ても似合うよな〜。」

「二人ともきれいだよ。」

「俺らもモデルになるか。」

「無理だよ。」

「案外できないこともないかもよ?オーディションに受かればの話だけど。」

「まぁ写真とられてれば良いだけだし、色んな服着れるし♪」

恵美の目の色が変わる。

「モデルの仕事バカにしないでくれる?殺すよ?マジで!」

めぐみはモデルの仕事に誇りを持ってやってるから、あんなことを言われると、本気でキレる。


俺も今イラっとしたし。

「颯太…今回はお前が悪い。おとなしくやられろ。俺もあとからやるから。」

「えっ…ちょっと…。」

後ろから颯太を羽交い締めにする。

めぐみは指をならして、準備中だ。

裏拳飛ばす気だな。

恵美はすぐに颯太の目の前にきて、急所に蹴りをいれた。

うわ〜強烈〜。

指をならしたのは、フェイクか?


さすがに颯太が可哀想になってきたぞ。

「くぅ〜。」

颯太悶絶…。

恵美を怒らせてはいけないと、改めて知った、二十歳の冬。
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