ヘタレ王子とヤンキー姫
樺音は、春樹がトイレへいったすきに、理名に抱いていた疑問をぶつけてみた。

「違ってたらすいません。気になったんで…つい。」

理名はゆっくりと振り返ると、樺音に微笑みかけた。

「よく分かったな。私が夜蝶。あの日あんたを止めたのは私だよ。」

「やっぱり。」

「驚いたろ?まさか元ヤンの息子が、あんなよわっちいなんて。」

「はい、驚いたっつうか、引いたっつうか。」

「ハハハ。正直なやつだ。気に入ったよ樺音。多分春樹はあんたに惚れてる。あんたになら息子を任せられるよ。」

「へっ?」

「あっでもあの子はまだ子供だから、変なことは教えるんじゃないよ?」

「はっ?」

そこへ春樹が戻ってきた。

「二人ともなに話してるの?」
「何でもないのよ。春くんお皿持ってきてくれる?」

理名さんは二重人格だ。

っと樺音は思った。

いつの間にか颯太と恵美も顔を出していた。

「何々?二人でなに話してるの?」

「ってか二人って知り合い?」

そんな二人の疑問に、樺音はニヤリと微笑んだ。

「お前ら、この人知らねぇの?伝説のヤンキー‘夜蝶’を知らねぇのかよ?」

そんな樺音の言葉に、二人だけでなく、春樹までが、唖然としていた。
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