ヘタレ王子とヤンキー姫
当時15歳だった樺音には、豊と言う恋人と、由衣と言う親友がいた。

由衣と樺音は、毎日のように一緒にいた。

まるで双子のように容姿から性格まで似ていた。

「樺音、食堂いこう。」

「あぁ…ちょっと待って。」

「豊はいいの?」

「豊もツレとの付き合いがあるからさ。」

「そっか。」

実は、由衣と豊は幼馴染みの関係で、由衣は豊に片想いをしていた。

しかし、当時豊と樺音が両想いと知った由衣は、親友と好きな人が幸せになるならと身を引いたのだった。

このころは、誰もが幸せだったはずだった。

みんなで笑って、楽しく過ごしていたはずだった。

樺音は知らなかった。

由衣が豊に片想いしていたなんて。

だから、豊の話をよくしたし、応援してくれた親友に感謝していた。

あんなことになるまでは…。
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