ヘタレ王子とヤンキー姫
春樹が復活したのは、二日後だった。

放課後、4人で帰っていると、樺音が足を止めた。

「どうしたの?」

樺音が目の前の人物を睨み付けている。

その人物も、樺音に気づいたようだ。

「樺音?樺音だよね?久しぶり。私あれからずっと樺音を探してたんだよ。謝りたかったの。それから、豊とは別れたんだ。あいつ実は…。」

自分についてペラペラしゃべるその女に、樺音は何か呟いていた

「何?樺音。」

「気安く呼ぶんじゃねぇ!」

樺音がその女に殴りかかろうとしたとき、それを止めたのは、春樹だった。

「春樹?」

「ダメだよ。この人を殴っても何も解決しないよ。過去は忘れられないけど、許すことは難しいかもしれないけど、前を向かなきゃ」


春樹は、樺音の拳を握ったまま、樺音の目をまっすぐに見据えていった。

樺音は、その女の存在を忘れて、春樹が自分の拳を止めたことに驚いてた。

誰に求められたことのない拳を、春樹はあっさりと止めてしまった。

恵美や颯太も驚いていた。

樺音は拳を下ろすと、どこかへいってしまった。

春樹は急いで樺音を追いかけた。
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