ヘタレ王子とヤンキー姫
颯太の両親は、その日も夜遅くに話し込んでいた。

「あの子、私がドアの前にたつと、いつも大きな声ではなし始めるの。」

「手遅れなのかもしれないな。もっとあの子の話を聞いてやるべきだった。気付いた時点で、抗議しても意味はなかった。」

「その頃にはあの子はすでに変わっていたから。」

「何故、話を聞いてやらなかったのだろう。」

「今でも、昨日の事のように思い出すの。悔しそうなあの子の顔。飛び出して、帰ってきたときのあの子の後ろ姿。」

「俺もだ…なぁ俺たちもうどのくらいあいつの笑顔を見ていない?」

二人とも黙り混んでしまった。

最近の夫婦の会話と言えば、この事ばかり。

いつの間にか、颯太は自分の部屋に鍵を付けていた。

何度颯太に謝っても、もうその声が颯太に届くことはないのだろうか。

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