ヘタレ王子とヤンキー姫
屋上にはいつものメンバーが、集まっていた。

だが、そこに樺音の姿はなかった。

颯太が両親と和解する少し前から、あまり顔を出さなくなっていた。

「なにがあったんだろう。」

「この前、樺音家に来てママと話してた。」

春樹の言葉に、二人は耳を傾ける。

「なにを?」

「内容は難しくてよくわからなかったけど、多分樺音に、何かあったんだと思う。」

春樹ははなしの内容を二人に話した。

「読めたぜ。樺音が昔暴れてたときに、ボコした誰かが復習に来たんだろう。」

「残念だが外れだ。」

声の方をふりかえると、いつのまにか樺音が立っていた。

「樺音…。」

「ちょっと忙しくてな。春樹おめぇいい加減にしねぇと、その達者な口縫い付けるぞ。」

春樹は慌てて口を押さえる。

「違うって何だよ。」

颯太が話を遮る。

「確かに俺はここ最近狙われてる。犯人は…豊だ。」

「豊って元カレの?」

「あぁ。意図はわかんねぇが、なにかを企んでるのは間違いない。」

樺音のはなしに3人は真剣に耳を傾けた。

「気を付けてくれ。なにがあるかわからない。」

その日から、颯太は恵美を、樺音は春樹を、送迎することにした。
< 62 / 200 >

この作品をシェア

pagetop