ヘタレ王子とヤンキー姫
それを見つけたのは恵美だった。

トイレにたった恵美は、

入り口の前に座り込んでいる春樹を見つけた。

「…き…るき…はるき!」

何度よんでも、春樹は目を泳がせながらぶつぶつ呟いている。

誰かに絡まれたのかと思い、春樹の顔を見ても、傷はなかった。

恵美はとりあえず春樹の手を押さえた。

爪からは血がにじみ出て、自分で抜いたのか、髪の毛が散らばっている。

恵美は、春樹の手をつかんで立ち上がらせた。

「部屋に帰ろう。」

「恵美?」

振り替えると颯太がいた。

「何があった!?」

恵美が短く事情を説明する。

「傷がねぇってことは、会いたくないやつにあっちまったか」

「会いたくないやつって…春樹を虐めてたやつってこと?」

「そう考えるのが妥当だな。」
「許さない!!」

「待て!素人が殴っても普通アザはできる。ないってことはそいつはなにもしてねぇ。」

「…はぁとりあえず戻ろう。」

二人は春樹を両脇から抱えて連れていった。

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