ヘタレ王子とヤンキー姫
カラオケを出てから、四人は、繁華街をぶらついていた。

陽は、とっくに沈んでいた。

「寒い〜。真っ暗だね。」

前の二人が、手を繋いで歩くのを、春樹は羨ましそうに見ていた。

樺音はそんな春樹を見て、そっと手を握る。

驚いた春樹が樺音を見ると、少し顔が赤くなっていた。

「お前冷えんの早すぎ。」

ぶっきらぼうに呟く樺音に春樹は、少し笑った。

「あっ圭じゃん。」

恵美の声に、隅に溜まっていた不良たちが振り向く。

春樹はとっさに、樺音の後ろに身を隠した。

「ツレだよ。心配ない。」

樺音が諭すように、話す。

ぞろぞろと集まってくる不良たちに、春樹は身を縮ませた。

「颯太に恵美に樺音じゃん!何してんの?」

「ダブルデート。」

「ダブルって…樺音彼氏できたの?あっその人が彼氏?」

数人の女子が、騒ぎだす。

「まぁ…。」

「樺音もとうとう処…」

茶化そうとした、男子の顔に、樺音は力一杯裏拳を飛ばした。

「次言ったら殺す。しかも処女じゃねぇかんな?」

「ごめんなひゃい…。」

痛そうに鼻を押さえながら、殴られた少年は謝る。

「バカじゃねぇの?相変わらず怖いもの知らずというか…」

颯太があきれながら見る。

「ちょっと話してかない?」

一人の提案に、春樹以外の3人が頷いた
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