ヘタレ王子とヤンキー姫
春樹を教室まで送り届け、ふたりは屋上へ来ていた。

颯太の姿をみたいと言う、恵美のたっての希望だった。

「ってかこんなとこから見えんのか?」

「見えるし!愛の力をナメんなよ。あれっあれって…。」

恵美が指差した先を見ると、春樹がグラウンドにたっていた。

「確か春樹くんだっけ?何やってんだろうね。あんなとこで」
「どんだけ視力がいいんだよてめぇは?」

「普通だよ?樺音はコンタクトだっけ?」

「あぁ…コンタクト。」

「カラコンいれればいいのに。私みたいにさ。」

「考えとく。」

「樺音なら赤か緑だよね。あっグレーもいいかも。
あっ今度見に行く?」

「まだ入れるなんていってねぇよ。」

そんな樺音のツッコミを無視して、恵美は一人悩んでいた。
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