略奪愛
「お酒?ああ…持ってくよ」


低いあの時とは違う優しい声


カウンターにはお客さんはいなく、おくの席に数名いるだけだった


「ありがとうございます…」


グラスを置いて立ち去ろうとしたとき…


「ねぇ…奏?」


聞きたくなかったのに…はっきりと聞こえてしまった
"奏"と…


ドクン…ドクン
今"ちゃん"付けなかったよね?


「奏?跡は消えた…?」


振り向いちゃだめ…
気にしちゃだめ…


「教えて?奏」


カウンターに置いた手をツゥーとなぞる

雄大さん

「やっ…」


パシッ!

「はなしてください!」


「こっち向きなよ?」


< 45 / 117 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop